ホモゲンチジン酸-1,2-ジオキシゲナーゼ (homogentisate 1,2-dioxygenase, HGD) は、ホモゲンチジン酸を4-マレイルアセト酢酸に変換する酵素である。HGDは芳香環の異化に関連する酵素で、チロシンとフェニルアラニンの分解に特異的であり、それぞれの代謝経路を構成している。基質であるホモゲンチジン酸も生成物である4-マレイルアセト酢酸も代謝経路に用いられる。HGDはホモゲンチジン酸の芳香環を開裂させるためにFe2 とO2を必要とする。
活性部位
ホモゲンチジン酸-1,2-ジオキシゲナーゼの活性部位はTitusらの研究によりその結晶構造から究明されている。活性部位の結晶構造ではHis292, His335, His365, His371, および Glu341のそれぞれのアミノ酸残基が見られる。
ホモゲンチジン酸はFe2 原子を仲介に活性部位のGlu341, His335, および His371の部分に結合する。ここでHis292は芳香環のヒドロキシル基に結合する。His365はGlu341に水素結合で結合することによりアミノ酸側鎖が安定する。
反応機構
Borowskiらは米国化学会誌においてHGDの反応機構を提唱している。彼らは反応機構をGAUSSIANとJaguarのプログラムを用い、DFT法(B3LYP)によって演算を行った。
ホモゲンチジン酸の芳香環の開裂は多段階からなり、まずFe2 がカルボニル基とオルトフェノール酸素に配位する。鉄原子はこの他にHis335, His371, および Glu341にも配位している。これに酸素分子が鉄原子に結合し、芳香環はペルオキソ架橋中間体に変化する。酸素分子は開裂しエポキシドを形成する。このエポキシド中間体はラジカル反応により開裂し、六員環は酸化される。
脚注
外部リンク
- Homogentisate 1,2-Dioxygenase - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス(英語)




![[7] チロシン代謝[tyrosine metabolism] ニュートリー株式会社](https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch2-3/images/k_7_1.png)