クビアカツヤカミキリ(首赤艶天牛、学名:Aromia bungii)は、コウチュウ目カミキリムシ科に分類される昆虫の一種。別名クロジャコウカミキリ(黒麝香天牛)とも呼ばれることもある。サクラやモモの木を食害する害虫であり、日本では2018年(平成30年)1月に環境省により特定外来生物に指定された(「食害」で詳述)。
分布
中国(亜寒帯〜亜熱帯)、モンゴル、ロシア極東部、朝鮮半島、ベトナム北部に分布する。イタリアや日本(栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、愛知県、大阪府、徳島県)に外来種として移入・定着している。
特徴
体長22 - 38mm。体全体は光沢のある黒色で赤色の前胸が目立つ。黒色の触角は体長と同等かそれ以上の長さになる。日本では2012年(平成24年)に愛知県で初めて発見されて以降、分布を拡げており、他地域でも見つかっている。
繁殖力は大変強く、1匹の雌が300 - 1000個もの卵を産む。日本では孵化して2年後の6月中旬 - 7月下旬に成虫となり、幹から脱出して交尾した後に産卵するというサイクルを経て、個体数を増やす。別名に「麝香」とつくように、成虫は芳香を分泌する。これとは別に、雄はフェロモンによって雌を誘引する。
公園や市街地の街路樹に生息し、サクラ、ウメ、モモなどのバラ科樹木に寄生する。
食害
幼虫は樹木内部を食い荒らすため、寄生された樹木が枯死することもある。特に桜の大敵とされ、大量に植樹されているソメイヨシノの被害が顕著であり、被害拡大防止の観点からサクラが伐倒される事態が相次いでいる。このことから本種が特定外来生物に指定された。埼玉県環境科学国際センターでは、サクラへ寄生するクビアカツヤカミキリ対策を広く公開している。
2019年初旬には奈良県と三重県でも確認されており、群馬県館林市は捕殺個体1匹につき50円か飲料水を贈る取り組みを始めた。これを参考に埼玉県行田市も成虫10匹を捕殺すれば500円分の商品券を配っている。また、2019同年11月には和歌山県でも確認されている。
駆除・防除には薬剤が使われるほか、産卵管を通さない0.4mmメッシュのネットも開発されている。
出典
関連項目
- カミキリムシ




